授乳期は、赤ちゃんのお口の機能が大きく育つ大切な時期です。特に舌の位置や動きは、呼吸・飲み込み・歯並びなどに深く関わり、成長の過程にさまざまな影響を及ぼします。近年は「低位舌(ていいぜつ)」と呼ばれる状態が注目されており、授乳期の舌の使い方が、その後のお口の健康に結びつくことも分かってきました。
今回は、この「低位舌」についてお話しします。

低位舌とは

低位舌とは、安静にしているときに舌が上顎に触れず、お口の中の低い位置にとどまっている状態のことです。本来、舌は上顎に軽く触れているのが自然な位置です。この位置にあることで、呼吸や飲み込みをスムーズにし、顎の成長や歯並びの形成にも良い影響を与えます。
しかし、授乳期の赤ちゃんは、舌の筋力がまだ十分ではないため、舌をしっかり持ち上げることができず、低い位置でとどまってしまうことがあります。
さらに、浅い吸い付きや舌が上下に動きにくい授乳姿勢が続くと、低位舌が習慣化しやすくなります。
授乳期にどのように舌を使っているかは、その後の呼吸や飲み込み、歯並びの発達に大きな影響を及ぼします。そのため、この時期から舌の動きを注意深く見守ることが重要です。

低位舌が続くとどうなる?

お口に関するリスク

呼吸への悪影響

舌が低い位置にあるとお口が開きやすくなるため、口呼吸が習慣化することがあります。口呼吸が続くとお口の中が乾燥しやすくなり、むし歯のリスクを高める原因になります。

飲み込みへの悪影響

舌の動きが弱いと、正しい飲み込みが難しくなり、不自然な飲み込みの癖が身に付いてしまうことがあります。

歯並びへの悪影響

舌は顎の成長を助ける働きがありますが、低い位置にとどまったままだと、その力が十分に発揮されません。その結果、歯並びの発達にも悪影響を及ぼし、将来的な歯並びの乱れにもつながることがあります。

身体へのリスク

姿勢への悪影響

口呼吸が習慣になると、気道を確保しようとして頭が前に出やすくなります。このような姿勢が続くと、身体のバランスにも悪影響を及ぼすことがあります。

睡眠への悪影響

舌が低い位置にあると気道が狭くなりやすく、眠りが浅くなる、いびきをかきやすくなるなど、睡眠の質が低下する可能性があります。

授乳期からできる低位舌対策

正しい抱き方と授乳姿勢を意識する

赤ちゃんの頭と身体が一直線に保たれる姿勢は、舌が自然に動きやすい状態をつくります。また、赤ちゃんの顎が軽く上がる姿勢を意識すると、お口が大きく開きやすくなり、深く吸い付きやすくなります。
無理のない授乳姿勢を整えることは、舌の上下運動を促す上で重要です。

深くくわえさせる

浅くくわえる授乳が続くと、舌の自然な動きが制限されるため、筋力が育ちにくくなります。そのため授乳の際は、赤ちゃんがお口をしっかり大きく開けて、深くくわえられているかを確認することが大切です。深くくわえることで舌がよく動き、自然と良い飲み込みの習慣が身に付きやすくなります。

まとめ

授乳期は舌の動きが育つ重要な時期で、舌の位置は呼吸・飲み込み・歯並びにも深く関係します。そのため、早い段階から舌の機能に目を向けておくことは、健やかな発達を支える上で欠かせません。
当院は小児歯科に力を入れています。お子さまのお口の状態が気になるという方は、お気軽にご相談ください。