永久歯は、噛み合わせや歯並びなど、お口のバランスを保つ重要な役割を担っています。通常は成長とともに生えそろいますが、中には成長しても一部の永久歯が生えてこないことがあります。
そこで今回は、生まれつき永久歯の本数が少ない状態である「先天性欠如歯」についてお話しします。
先天性欠如歯とは?
先天性欠如歯とは、生まれつき永久歯の本数が通常より少ない状態のことで、成長の過程で永久歯が生えてこないことをきっかけに、はじめて気付く場合もあります。
見た目や痛みなどのわかりやすい症状が出にくいため、問題がないように感じることもあります。しかし、歯の本数は噛み合わせや歯並び、お口の中全体のバランスに関わる大切な要素です。
そのため、先天性欠如歯は、将来のお口の健康を考える上で、知っておいてほしい状態のひとつです。
先天性欠如歯とはどのような状態?
永久歯は、顎の中にある「歯胚(しはい)」と呼ばれる歯のもとが成長することで生えてきます。しかし、先天性欠如歯の場合は歯胚自体が作られていないため、成長しても永久歯が生えてきません。その結果、本来生えてくるはずの永久歯の本数が少ない状態となります。
欠如がみられることが多いのは、前から数えて2番目の歯(側切歯)や、前から数えて5番目にあたる第2小臼歯などです。
ただし、欠如する歯の位置や本数には個人差があります。
先天性欠如歯は、見た目だけでは気付きにくいことも多く、年齢や状況によって発見されるタイミングが異なります。主な発見のきっかけを、子どもと大人の場合に分けて紹介します。
子どもの場合
子どもの場合、歯科医院でレントゲン検査を行うことで、永久歯の歯胚があるかどうかを確認できます。そのため、定期検診や歯並びのチェックをきっかけに、比較的早い段階で先天性欠如歯に気付くこともあります。
大人の場合
一方で、大人になってから先天性欠如歯に気付く場合もあります。
たとえば、乳歯が抜けずにそのまま残っている場合や、左右で歯の形や大きさが違うと感じた場合は、それをきっかけに、レントゲン検査を受け、はじめて気付くこともあります。
先天性欠如歯が起こる背景
先天性欠如歯が起こる原因は明確には解明されていませんが、複数の研究から、遺伝的な影響が関係する可能性が高いと考えられています。
また、顎の大きさや成長のバランスによって歯が並ぶスペースが十分に確保されない場合があります。その結果、歯のもととなる歯胚が形成されにくくなることがあり、これも一因と考えられています。
そのほかにも、妊娠中の母体の栄養状態など、さまざまな要因が関係している可能性があるとされています。
これらはいずれも単独で原因となるものではなく、いくつかの要因が重なって起こると考えられています。
先天性欠如歯は放置してもいいの?
先天性欠如歯は、痛みが出たり、日常生活に大きな支障が出たりすることは少ないため、「特に問題はないのではないか」と考える方も多いです。
しかし、歯の本数が少ない状態が続くと、将来的に次のようなトラブルが起こる可能性があります。
- 歯の本数が少ないことで、左右で噛む力のバランスが乱れやすくなる
- 空いたスペースに周囲の歯が動き、歯並びや噛み合わせが不安定になる
- 一部の歯に負担が集中し、将来的なお口のトラブルにつながる場合がある
このようなトラブルが起こる可能性があるため、症状がなくても、現在のお口の状態を一度歯科医院で確認しておくことが大切です。
また、大人の場合は、永久歯がないために乳歯が抜けず、そのまま残っていることもあります。乳歯は永久歯に比べて歯質がやわらかいため、年数が経つにつれて、むし歯になりやすくなったり、歯が欠けたり折れたりするリスクが高まることがあります。そのため、定期的に歯科医院で歯の状態を確認し、必要に応じて相談・治療することが大切です。
歯科医師に相談することが大切
先天性欠如歯が見つかった場合でも、必ずしもすぐに治療を行う必要があるとは限りません。歯並びや噛み合わせの状態、年齢、日常生活への影響などを踏まえながら、対応を検討していくことが大切です。
場合によっては、定期的に経過を観察することで問題なく過ごせることもあります。一方で、必要に応じて矯正治療や補綴治療などを検討する場合もあります。
先天性欠如歯への対応は一人ひとり異なるため、治療の必要性や開始するタイミングについては、歯科医師と相談しながら判断していくことが重要です。
先天性欠如歯を正しく知ることが大切です
先天性欠如歯は決して珍しいものではありませんが、痛みなどの自覚症状が少ないため、気付きにくいことがあります。
そのため、お口の中で気になる症状や違和感がある場合には、早めに状態を確認することが大切です。
先天性欠如歯かもしれないと心当たりのある方は、当院までお気軽にご相談ください。




